新卒CRA どこのCROに入社すべきか徹底解説!
どうも、はるきちです。
毎年たくさんの方が新卒入社でCRO各社に入社されていますが、CROと一括りに言っても会社数も結構多いですし、どこに入れば良いかがわかりづらいと思います。
そこで、今日は新卒入社でCRAをするのであれば、どこの会社に入社すべきか解説したいと思います。
そもそもCROって何?
臨床開発職種への就職を目指している学生さんはご存知だと思いますが、『CRO』とは『Contract Research Organization』の略で、日本では『開発業務受託機関』として訳されています。
医薬品開発においては治験の数に波があるため、製薬メーカーでは常時開発部員を社内に置いておくのではなく、必要になった場合に必要な分のリソースのみをCROにお願いしております。
そのため、製薬メーカーとCROは契約に基づく委受託業務関係にあります。
委受託関係があり、製薬メーカーがCROにお金を払っていますので、勿論製薬メーカーの方が立場が上で、ほとんどのCROは製薬メーカーの顔色を見ながら仕事をしています。
どの範囲の業務をCROに委託するかは製薬メーカーとの契約で定めており、モニタリングを委託しているケースが一番多いです。
中には統計解析やDM、薬事などを委託しているケースもあります。
以下に2019年の日本CRO協会発表の売上高と従業員の推移の画像を貼付しております。
CRO協会の売上はずっと右肩上がりで伸びていましたが、2017年以降は売上高・人数ともに横ばいになってきており、CRO協会の成長率も鈍化していくものと想定されます。
CROって製薬会社と違うの?
では、CROと製薬会社は違うのか?という点ですが、仕事内容や待遇に違いがあります。
一般的には、製薬会社の方が仕事内容のレベル感が高く、待遇が良いケースが多いです。
そのため、製薬会社のCRA職の新卒採用は倍率が数千倍になっているようで、入社難易度はかなり高いです。
現職の私の会社の新卒CRAを見ても、皆さん偏差値が高い大学を卒業しており、旧帝大の理系院卒が一般的だと思います。
最低でも東京理科大学 薬学部以上の学歴が無いと、やや厳しいと思いますね。
地方の三流私立大薬学部卒の私からしたら、東京理科大学 薬学部は大変立派ですが、それほど製薬会社に新卒でCRA職で入社するのは困難と言えます。
その一方でCROですが、製薬メーカーほどではないにしろ、CROの新卒CRAもかなり高学歴だと言えます。
前職の外資系CROでは新卒で国立大学薬学部の院卒の人もたくさんいましたし、私立大学卒業の人も偏差値が高い大学の人が多かったです。
ですので、大手CROの新卒入社も簡単ではないと言えます。
CRAの仕事は激務か?
CRAとしての新卒入社や転職を検討している人の中には、CRAがどの程度激務かを気にしている人もいると思います。
私は、新卒で薬局薬剤師として就職し、その後CROに転職しました。
薬剤師とCRAを比べると、本当にCRAの方が大変だと思います。
どの程度激務になるかは、試験によっても大きな違いがあり、とあるチームはいつも忙しいけど、別のチームはいつも落ち着いているということがあります。
あとは、試験の立ち上げ段階は基本的にどのチームも忙しく、同じ試験であっても時期によって業務量が異なることが特徴です。
CRAの仕事内容はすごく魅力的で、働き方にもメリットとデメリットがありますので、詳しくは以下のブログもご参照ください。
CROに入社した場合のキャリアパスは?
CROに新卒入社する人のほとんどはCRAとして入社しますが、最初は先輩CRAからいろいろ教えてもらいながら、担当施設を自分でまわしていくことになります。
独り立ちができるようになると、数年後にはメンターとなり、Lead CRAやStudy Manager/Line Managerになっていくのが一般的なキャリアパスです。
CRA経験が5年程になると、年収を上げるために転職したりする人も多く、製薬メーカーに転職して行く人も一定数います。
CROのデメリットの1つとして、キャリアパスが非常に限定されてしまう点です。
CROではOperation以外の業務をほぼ受託していないため、それ以外の業務を経験することが難しい状況にあります。
製薬メーカーにはたくさんのRoleがあり、開発職ではなく、MSLなど他部署のRoleにキャリアチェンジする人もいますので、製薬メーカーの方が圧倒的に選択肢が多いです。
CROを含め製薬業界は転職が盛んな業界ですので、新卒でCROに入っても数年後に製薬メーカーに転職していくCRAもたくさんいますし、現に私もCROから製薬メーカーに転職し、今は大手外資系製薬メーカーでOncology領域のStudy Managerをしています。
新卒入社の場合の会社選びの基準は?
ずばり、新卒入社の場合は、まずは教育体制がしっかりしている会社に入社すべきです。
最初にしっかりと教育されている人とそうでない人にはかなりの違いがでますので、厳しくても教育体制がしっかりしている会社に入った方が良いです。
それと同時に、今は転職することが前提の時代ですので、ゆくゆく転職することも視野に入れておく必要があります。
そのため、転職市場で評価されやすい領域(オンコロジーなど)やGlobal Studyをしっかりと受託している会社に入る必要があります。
現在の転職市場において、オンコロジー領域とGlobal Studyの経験があれば市場価値をかなり上げることができますし、製薬メーカーへの転職にもチャレンジできます。
最後に給与水準が高い会社の方が勿論ベターです。
在職中も去ることながら、転職する際にも前職の年収を基準に交渉することになりますので、次を見越してそれなりの給与水準の会社を選んだ方が良いでしょう。
-市場価値が高い領域(オンコロジーなど)の試験を受託している会社
-Global Studyを受託している会社
-年収が高い会社
あと、CROはそれぞれの会社によってビジネスモデルが異なります。
製薬メーカーに派遣(場合によってはCROに派遣)される特定派遣が良いのか、受託型が良いのかによって、選ぶ会社が異なります。
会社によっては、特定派遣専門のCRO、受託型専門のCRO 、又は両方ともやっているCRO がありますので、応募する際には、各社のビジネスモデルを理解して応募しましょう!
特定派遣と受託型のそれぞれのメリット・デメリットを別の記事でまとめていますので、以下の記事もご参照ください。
どこの会社が良いか?
では、どこの会社が良いという点ですが、私が新卒なら以下の5社のうちいずれかに入社したいと思います。
それぞれの会社に長所・短所がありますが、教育体制、年収や受託している試験を考慮すると、IQVIAとリニカルが一番バランスが良いと思います。
1.IQVIA
2.リニカル
3.シミック、EPS
IQVIA
教育体制もしっかりしており、Oncology領域やGlobal Studyの受託も多いため、新卒入社推奨度1位としております。
年収はCRO業界では高い方に位置しますが、以前ほどの高年収は提示されておらず、近年下降傾向にあります。
新卒入社の生え抜きCRAはそこまで給料は上がらないと思いますので、昇給に対する過度な期待は禁物です。
CRAとして5年程修行したのちに、製薬メーカーや他社CROに転職して行く人が多いのが現状で、IQVIAのチームリーダーやCRAは、ここ数年でSyneosやLabcorpにかなり流れています。
リニカル
リニカルは内資系CROでは一番給与水準が高い会社です。
オンコロジー領域の試験も多く、Global Studyもしっかり受託していることより、新卒入社推奨度2位としております。
リニカルの特長としては、日本から海外の現地法人に人材を派遣している点です。
誰でも行けるわけではありませんが、内資系CROで海外に人材を派遣しているのはリニカルだけだと思いますし、社員の教育にも力を入れていることがうかがえます。
Global Studyを受託しているものの、内資系の会社であることより、IQVIA等のGlobal CROよりは英語の使用頻度がやや低いものと想定されます。
シミック、EPS
新卒入社推奨度3位は、シミック、EPSの2社にしました。
上記2社は甲乙つけ難かったため、同率3位としております。
4社を選出した理由ですが、シミック、EPSは大手内資系ですので、新卒に対する教育はしっかりしていますし、シミック、EPSから製薬メーカーに行く人はたくさんいます。
新人の時は、まずはしっかりと仕事を覚える必要がありますので、シミック、EPSを選出しました。
ただし、上記2社の給与はそこまで高くありませんので、年収を上げたい場合は経験5年後くらいに転職する必要があります。
この順番は、2022年1月時点での各社の状況を考えた上でランキングにしています。CROは時期により仕事の受託状況に変化がありますので、各社の状況は今後も注視が必要だね!
中堅以下の内資系CROはお勧めできない
全ての会社が該当するわけではありませんが、中堅以下の内資系CROはあまりお勧めできません。
それなりに倍率が高い会社は、規模が大きく研修体制がしっかりしている、又は年収が高いなど、その会社の売りがあります。
新卒の時には、研修体制が充実している会社、又は年収が高い会社、もしくはその両方とも持っている会社に入った方が良いと考え、上記5社をピックアップしています。
中堅以下の内資系CROは、両方とも該当しない可能性があります。
研修体制が充実していない可能性がある
研修体制は基本的に大手の方が充実しています。
新人の時にしっかりとした教育を受けているかどうかはその後のキャリアにも影響しますので、まずは基礎をしっかりと学べる会社を選んだ方が良いでしょう。
Role modelが存在しない
入社後の研修を経て、チームに配属されますが、そこで出会う先輩や上司の影響は結構大きいと思うんですよね。
私が新人の時に指導して下さったメンターさんは本当に尊敬できる人で、とても仕事ができる人でした。
その人は、今はとある製薬メーカーで結構出世されたようで、10年以上経過した今でも付き合いがあります。
大手CROであれば、研修体制もしっかりしており、仕事ができる優秀な先輩CRAさんが一定数いると思いますが、中堅以下のCROであればそのその割合が著しく低いことが想定されます。
その結果、目指すべきRole modelが存在せず、低いレベルで仕事をすることが日常となることが懸念されます。
市場価値が高い仕事ができない
Oncology領域やCNS領域、希少疾患領域が昨今では市場価値が高い領域となっていますが、中堅以下のCROには主に難易度が低い、簡単な試験を委託する傾向にあります。
Global Studyの受託もかなり限られると思いますので、大手CROのCRAと比較して、しっかりとした経験を積みづらい傾向があります。
中には、治験薬のUnblindのMonitoringをたくさん受託しているような中堅以下の内資系CROもあるようです。
年収が低い傾向にある
年収は、全体的に低い傾向にあり、特に大手外資系CROと比べると、結構な開きがあると思います。
と言うのも、大手外資系CROはGlobalで一括して仕事を取ってきますが、Global Studyを受託できるCROは限られています。
そのため、かなり高額で受託しているケースが多く、その結果、社員の年収も高くなります。
その一方、中堅以下の内資系CROでは基本的にLocal studyを受託することになりますが、中には、価格を下げて、価格勝負に走る内資系CROも一定数存在します。
その結果、薄利多売ビジネスに陥っている可能性があり、社員の年収が上がりづらい状況になっている会社も存在します。
製薬メーカーに転職しづらい
私が務めている外資系製薬メーカーにもCROからの転職者が一定数いますが、基本的には大手CROからの転職ばかりです。
社名が影響しているというよりは、市場価値が高いCRAを面接で選別したところ、結果的に大手出身者ばかりになったということだと思います。
当然のことですが、市場価値が上がれば、転職先を複数から選ぶことができ、その結果年収も上がりやすいという良いスパイラルが生まれます。
そのためにも、上記5社のうちいずれかに入社し、しっかりとした経験を積むことが重要です。
最後に
新卒で入社できる機会は人生で1回きりですので、悔いが無い就職活動を行って欲しいと思います。
CROに新卒で入社する人の中には、本当は製薬メーカーに行きたかったけど内定を獲得することができなかったという学生さんも多くいるのではないでしょうか。
私も以前はCROにいましたが、しっかりと目的意識をもって仕事に取り組めば製薬メーカーに転職することも可能ですし、他社CROに転職して年収を上げることも可能です。
新卒で入社した会社で全てが決まるわけではなく、寧ろ入ったその後どうするかでキャリアは大きく変わります。
希望通りの会社に入れた人も、そうでない人もそこをゴールにせず、3年後、5年後、10年後を考えて仕事に取り組みましょう!
あと、CROへの入社のための就活をして人はご存知だと思いますが、臨床開発の世界では今では英語は必須のスキルとです。
就活時点での英語力はさほど求められませんが、学生時代に英語をコツコツ勉強することができたら、入社時点でかなりのアドバンテージになりますので、時間を見つけてコツコツ勉強しましょう!
では!
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