Oncology領域のPhase1試験について考えてみる

2022年4月17日

どうも、はるきちです。

今日はオンコロジー領域のPhase1試験について考えてみたいと思います。

新薬開発の流れ

まず最初に、新薬がどのように開発されていくのかを確認したいと思います。

日本SMO協会のHPにわかりやすい画像がありましたので拝借致しましたが、長い年月と莫大な費用をかけ、医薬品が開発されております。

医薬品開発にはいろいろなStrategyがあり、第I相を実施し、その後第III相を実施する場合もありますが、以下画像ではあくまで標準的な場合を示していると考えてもらえればと思います。
http://jasmo.org/ja/business/flow/index.html



医薬品の製造販売承認を取得するためには臨床試験(治験)を実施する必要がありますが、臨床試験の中には『第I相試験』『第Ⅱ相試験』『第Ⅲ相試験』があります。
『第I相試験』を『Phase1試験』や『Phase1 study』と呼んだりします。

臨床試験の中は『Phase4』までありますが、『Phase4』は製造販売後に行われる臨床試験で、『製造販売後臨床試験』と呼ばれております。

それぞれのPhaseの試験を実施する意義は?



こちらも日本SMO協会のホームページに掲載されている画像ですが、それぞれのPhaseでは一般的に上記の事項を確認します。

領域により考え方が違う場合がありますが、
-Phase1では、安全性を確認し、
-Phase2では、用量設定を行い、
-Phase3では、有効性を確認、
という流れが一般的だと思います。


Oncology以外の領域ではPhase1は健康成人を対象に実施し、Phase2以降に患者さんを対象に実施します。
しかし、Oncology領域に関しては健康成人に抗がん剤を投与する倫理的な問題があるため、Phase1から患者さんを対象に実施します。

【Phase1でのOncology領域とそれ以外の領域の違い】
Oncology領域:患者さんを対象に実施。実施例数は10例未満であることが多い。
Oncology領域以外:健康成人を対象に実施。100例規模の試験が多い。

Oncology領域のPhase1について

さて、ここからが本題ですが、Oncology領域のPhase1について説明していこうと思います。

Oncology領域の中で、Phase1, 2, 3を比較した場合、Phase1が一番難易度が高く、かつ一番面白いと言えます。

なぜ、難易度が高いかというと、Phase1では治験薬そのものが当該疾患においては開発初期段階であり、中には 人に初めて投与する試験(First in Human試験)もあります。

今までは動物への投与経験のみであるため、人間ではどのような毒性するかがわからないということもあり、施設側も非常に慎重になります。

そのため、Phase1を担当しているCRAは治験薬に精通している必要があり、先生方の質問に対してタイムリーに正確な情報を提供することが求められます。

また、OncologyのPhase1を実施するような専門病院の医師は治験に対して非常に情熱的です。
そのため、医師からCRAに直TELが頻繁にあり、治験の手順などを電話で聞いてくる場合もあります。

先生とも直TELで頻繁にコミュニケーションを取る必要があるため、Phase1を担当しているCRAには優秀な人が多く、OncologyのPhase1は誰でもできるという物では無いと私は考えております。

ただ、難しい分、面白いのがOncologyのPhase1です。
先生との距離が近いことでやりがいを感じることもできますし、Phase1の段階で今後の開発計画を検討するケースもあると思いますので、私の経験上Study ManagerとしてもPhase1は面白いと思います。

Phase1は非常にやりがいもありますし、面白みもありますので、Phase1をメインで担当しているCRAからすると、OncologyのPhase3は物足りないと感じるかもしれません。

OncologyのPhase1試験は、どこの施設でもできるわけではない



そんな難易度が高いOncologyのPhase1ですが、どの施設で実施できるわけではありません。

Oncologyの試験は基本的にがんセンターか大学病院で実施しており、以下の2施設はOncology領域では非常に有名な施設です。

それに加え、多くのPhase1試験を実施しています。

・国立がん研究センター東病院(NCCE)
・国立がん研究センター中央病院(NCCH)

上記の2施設はOncology領域で知らない人がいないくらい有名な施設で、正にがん研究に中心に位置する施設です。

NCCE・NCCHの先生方は治験に対して熱い先生が多いため、CRAもプロフェッショナルでなければいけません。

上述の通り、Oncology領域のPhase1は誰にでもできるものではありませんが、機会があれば積極的にチャンレジして欲しいと思います。

Oncology領域は転職に有利という記事を以前書きましたが、その中でもPhase1の経験があれば尚良いと思います。

では!

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