Medical Science Liaison(MSL)の業務内容に迫る!
日本にMSLが新設されて10年くらい経ち、MSLの知名度自体もだいぶ浸透してきたのではないでしょうか。
CRAからもキャリアチェンジ可能な職種で、私の知り合いも数名MSLにキャリアチェンジしましたが、今日はMSLの業務内容や、開発目線から見たMSLについて書いていこうと思います。
MSLの業務内容は?
まず、MSLの業務内容ですが、一言で表現すると「KOLと医学的なdiscussionをすること」がメインの仕事となります。
医学的なdiscussionと記載すると非常にざっくりとしていますが、私の会社では新規に治験を実施する際、実施前にその領域のKOLに話を聞きに行き、プロトコルが日本の医療事情に沿う内容になっているかを相談しに行きます。
その際、開発とメディカルで訪問することが多く、MSLも同行することが多いです。
また、MSLの業務としては、治験の実施医療機関で症例が入らない時に補助的な業務をお願いすることがあります。
MSLは医学・薬学のエキスパートですので、その治験薬の良さを施設で説明してもらい、治験責任医師/分担医師をMotivateすることに協力してもらうことがあります。
あと、開発には直接関係ありませんが、臨床研究における医師のサポートやアドバイザリーボード、Medical Education等のメディカル主催のイベントを実施することが主な業務となります。
求められる経験は?
今まで私もMSLにトライしたことがありますが、一般的に以下のようなスペックの応募者を求めている製薬メーカーが多いと思います。
[求められる経験]
・営業、マーケティング、臨床開発、MAのいずれかで3年以上の経験、又はアカデミアで3年以上の研究の経験。
・MR、CRA経験者は大学病院や基幹病院担当経験及び KOL担当経験
・理系修士卒以上
・医師、薬剤師、PhDのいずれかの資格又は学位があると尚良い。
・TOEIC 700点以上
MSLが新設された頃は、理系・文系を問わずMR経験者がMSLにキャリアチェンジしていったケースが多かったですね。
ただ、ここ最近の傾向としては、MR出身者では医師とScienceに関する深いdiscussionができないと言われており、MR経験者をMSLとして採用することに消極的になってきているのが業界の流れのようです。
私がCROに在籍していた際に、その会社の先輩がMSL職でとある大手製薬メーカーに転職していったのですが、その方は働きながら博士課程に通いPhDを取得しました。
その方はもともと修士卒ではありましたが、PhDが無いと社内で発言権もなく、舐められると仰っていましたし、その会社のMSLの新卒は、ほとんどが旧帝大の博士課程出身者だそうです。
このような状況になってくると、MR出身者(特に文系出身者)は厳しいかもしれませんね。
私は今はMSLをやりたいという希望を全く持っていないのですが、学卒の私には厳しいだろうなと思ってます。
私が感じるMSL職のメリット・デメリット
MSLはまだ日本で新設されて10年くらいで、歴史がまだ浅い職種でもあります。
そのため、各社「MSL」と言っても業務範囲にやや違いがあるようですが、だいたいどこの会社でも共通しているであろうメリットとデメリットを以下に記載していこうと思います。
●メリット
・ 昨今、開発と営業は同行しない会社が増えてきていると思いますが、MSLはどちらととも同行しますし、開発~営業までの広い軸で薬に携われる点が魅力。
●デメリット
・MSLは営業職ではないため、売上は評価に反映されません。しかしながら、MSLの行動及び業績を客観的に評価できる指標が少ないため、評価をすることが難しい職種でもある。
・週3~4程外勤がある。(人によってはメリットにもなり得る。)
勤務地はどこか?
基本的に本社勤務になるケースが多いと思います。
私の会社もMSLの勤務地は本社のみであり、本社から全国に出張に行っています。
ただ、会社によっては、東京・大阪の両方にMSLを配置しているケースもあり、中外製薬は全国地方都市にもMSLを配置しております。
「販売情報提供活動に関するガイドライン 」の対象にMSLも入っているため要注意!
2019/4/1に「販売情報提供活動に関するガイドライン」が施行されましたね。
2019年春先に各社対応を検討し、社内で勉強会や説明会が多数行われたのではないでしょうか。
https://www.mhlw.go.jp/content/000359881.pdf
有効性を誇張するなど不適切なプロモーションをなくすことが目的ですが、 MRだけでなく、MSLもこのガイドラインの対象となっております!
厚労省が製薬会社のMRやMSLによるプロモーション活動を対象に2016年度から行っている“覆面調査”によると、全国のモニター医療機関から不適切プロモーションとして報告のあった事例は、16年度(調査期間3カ月間)39医薬品64事例、17年度(同5カ月間)は52医薬品67事例だそうです。
そのため、厚労省はガイドラインを通じてこうした事例をなくし、医療用医薬品の適正使用を確保したいようですね。
まだ各社手探りで対応していると思いますが、このガイドラインは要注意です。
ちなみに、このガイドラインは製薬メーカー内の「所属部署にかかわらず」と記載されており、開発部も対象となりますので、ご注意ください!
では!
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