がん遺伝子パネル検査について
どうも、はるきちです。
今日は、ここ最近耳にする機会が多くなった「がん遺伝子パネル検査」について見ていきたいと思います。
遺伝子とは?
本題の「がん遺伝子パネル検査」を説明する前に、まず遺伝子とは?という話をしたいのですが、 シスメックスさんの資料でわかりやすい資料がありましたので、一部引用させていただきますが、人間の体は約37兆個の細胞でつくられています。
全ての細胞のなかには染色体があり、染色体のなかには DNAという物質があります。
遺伝子はこのDNA上に存在する人間の体の設計図のことです。この設計図である遺伝子をもとに、体の必要な部分(手・足・頭・臓器など)がつくられます。
http://lifescience.sysmex.co.jp/products/oncoguide/reference/data/data2.pdf
がん治療の考え方の変化
以前はがん治療は臓器別に考えられており、 胃がんなら胃がんの、肺がんなら肺がんの治療薬として認められているものしか使えませんでした。
しかし近年では、がんが発生した臓器ではなく、がんの原因となる遺伝子の変異に基づいて診断・治療を行う医療として『がんゲノム医療 』が主流になってきております。
たとえば、「肺がん」と診断された患者さんでも、変異している遺伝子が違えば使用する薬剤も違いますし、また違う臓器のがんでも遺伝子変異が同じであれば、同じ薬剤が効果を示すということもあります。
以下にEGFR阻害薬の代表的な薬剤を掲載しております。
以下の薬剤はEGFRという遺伝子に変異が起きている患者さんに効く薬剤で、主に非小細胞肺がん患者さんにEGFRの変異が多くみられます。
しかし、膵がんでもEGFRの変異が認められることより、エルロチニブ(タルセバ)は非小細胞肺がん以外に膵がんの適応も持っております。
このように、近年では臓器で判断するのではなく、遺伝子変異で治療薬を判断するようになってきております。
がん遺伝子パネル検査とは?
さて、ここからの本題の「遺伝子パネル検査」ですが、みなさん一度は聞いたことがあると思いますが、どのような検査かご存知でしょうか?
がんと関係する遺伝子は数百種類あると言われています。
これまでの遺伝子検査では、あらかじめ狙いを定めた遺伝子異常を一つ一つ検査する方法しか保険で認められておらず、検査に時間を要しておりました。
また、検査できる遺伝子異常の数も限られておりました。
一方、新しい遺伝子検査である「がん遺伝子パネル検査」では、1 回の検査 で数十~数百種類の遺伝子を調べることができます。これにより遺伝子異常の発見率が上がり、患者さんそれぞれのがんにあった治療薬が見つかる可能性が高まることが期待されています。
2020/2/5時点で保険収載されているがん遺伝子パネル検査は以下の2種類です。
どちらの検査においても 検査実施料は8000点、検査判断・説明料は4万8000点で、合計で5万6000点(56万円)となり、検査費用が高額な点がネックとなります。
中外製薬の「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」
固形がん患者の腫瘍組織検体(細胞診検体を含む)から抽出したゲノムDNA の遺伝子変異情報(データ)を解析するプログラムです。
324のがん関連遺伝子の変異等(塩基置換、挿入/欠失、コピー数異常、再編成)の検出結果、マイクロサテライト不安定性の判定結果、およびTumor Mutational Burdenスコアの情報提供などが主な機能となります。
また、 一部の遺伝子変異等については、医薬品の適応判定補助を目的とするコンパニオン検査が可能です。コンパニオン検査として用いる場合は、疾患によって点数が異なり、コンパニオン検査時のデータを用いて、遺伝子パネル検査に移る場合は検査判断・説明料(4万8000点)のみが算定されます。
シスメックスの「OncoGuideTM NCC オンコパネルシステム」
国立研究開発法人国立がん研究センターとシスメックスの共同で開発されたがん遺伝子パネル検査です。
固形腫瘍の腫瘍細胞を検体とし、 日本人のがんで多く変異が見られる遺伝子114個について、次世代シークエンサーを用いて1回の検査で調べることができます。
小児がんを含む様々な固形がんに起きている遺伝子の変異を網羅的に調べることができます。
がん遺伝子パネル検査は誰でも受けられるわけではない
現時点で、がん遺伝子パネル検査は誰でも受けられるわけではなく、検査を受けるための条件として以下2点が設定されております。
2.局所進行もしくは転移があり、標準治療が終了した(終了見込みを含む)固形がん患者
また、がん遺伝子パネル検査を受けても必ずしも治療法が見つかるわけではありません。
まとめ
本日記事を書いて改めて感じることは、『時代は日々進化する』ということです。
特にOncology領域は新薬の開発が一番活況な分、時代の移り変わりも他の領域より早いずっと早く、その分勉強が必要な領域だと改めて痛感致しました。
今後もOncology領域のトレンド等を掲載していこうと思います。
では!
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