Oncology全盛時代の終焉について

2022年8月27日

どうも、はるきちです。

私はCRAになった2000年代は生活習慣病が一世を風靡している時代で、私も循環器を担当していました。

その時は、CRAで製薬メーカーに転職する時も、特定の領域経験を求めている求人はほぼ無く、CRAとして3~5年程度の経験が求められていました。

その後、紆余曲折があり、私がはオンコロジー領域を担当することになったわけですが、今日はここ最近私が感じている『Oncology全盛時代の終焉』について書いてみようと思います。

Oncology領域の隆盛はどのように始まった?

私の感覚だと2010年ぐらいを目途に、Oncology領域がもてはやされる様になったと感じています。

私は2000年後半にCRAデビューしたのですが、その頃からOncology領域を担当したいという人が増えてきた感じでした。

その背景としては、各社これからOncology領域に力を入れる、または新たに参入するというタイミングで、『これからはOncology』という匂いがプンプンしていたことを今でも覚えています。

それ以降、ご存知の通り、Oncology領域の治験の数も飛躍的に伸び、また様々な製品が発売されるようになり、昨今では一番の花形領域になったという変遷を辿っています。

今では、大手製薬メーカーや大手CROには必ずと言っていいほど、Oncology部門が設置されていますよね。

Oncology領域の隆盛と共に、特に製薬メーカーのCRAの中途採用の要件には「Oncology経験」が入るようになりましたし、そのような理由もあり、Oncologyをやりたいという人が激増しました。

私の場合はOncology領域を希望していたわけではないのですが、たまたまCRO在籍中にOncology領域に携わることになり、それがきっかけで今のメーカーに入ることができたと思っています。

そう考えると本当にOncologyをやっていて良かったと思っていますし、転職できたことにより自分のキャリアを大きく変えることができましたと感じています。

ここ10年ぐらいの間に隆盛を極めたOncology領域ですが、2000年代以前はどうかというと、Oncology領域は実はとても地味な領域でした。

腫瘍内科の先生方とお話しても、お年を召した年配の先生方は「Oncology領域は内科より外科の方が以前はもてはやされていて、昔は治験の数も少なかった。今は、腫瘍内科自体が以前より注目されている。」と口を揃えて仰います。

Oncology領域がもてはやされる前は、リピトールやノルバスクなど、生活習慣病の低分子化合物の全盛期でした。

そのため、会社によっては、完治が困難なOncology領域は仕事ができない人が配属される部署という位置付けの会社もあったようです。

Oncology領域の終焉は近いかもしれない

ただ、最近は本当に違和感を感じることが多くなりました。

何に対して違和感があるか?というと、ここ最近Oncology領域の開発がかなりニッチなところに行っているからです。

例えば、非小細胞肺癌は患者さんが多く、Oncology領域の中でも各社力を入れている癌腫の一つです。

しかし、患者さんのパイが多いため、本当に多くの薬剤が開発された結果、現在ではレッドオーシャン化しており、既に限界に近いと感じています。

そのため、ここ最近は、ごくごく少数の特定の遺伝子変異がある患者さんを対象とした治験が増えてきています。

それ自体が悪いとは思いませんし、そのようなニッチな開発を行うことにより救われる患者さんがいることを思うと、素晴らしいことではあります。

しかしながら、そのような開発ばかりになると、Oncologyも既に開発し尽くした感があり、ピークは過ぎたんだろうなと感じますね。

血液がんでも、B細胞リンパ種なども競合品が多いですし、同じようなレジメンも結構ありますよね。

各社こぞってOnocologyに力を入れた結果、そろそろ終焉に向かっていると感じることが多くなりました。

ですので、Oncologyが花形と言う考えはそろそろ捨て、次の時代へ向け、マインドセットを変える必要があります。

これからは『Oncologyをやりたいから』という理由での転職はNG

今までは、Oncologyをやりたいからという理由で、Oncologyに力を入れているCROに転職するという人も結構いたと思います。

しかしながら、間違いなく今後はそのような転職は止めた方が良いと思っています。

Oncology領域に並々ならぬ思いがあり、どうしてもやりたいという方は積極的にOncologyが強い会社に行った方が良いと思いますが、ほとんどの人は履歴書に箔を付けることが目的だと思います。

これから終わりを迎える(と私が勝手に予想している)領域をわざわざ好んでやる必要はありませんので、履歴書に箔を付けたいと思っている方は、今からであれば違う領域で箔を付けた方が良いのではないでしょうか。

これからはどこの領域が良い?

Oncology領域の次は何かというと、やはり希少疾患系ですよね。

希少疾患に携わる機会があれば、積極的にチャレンジした方が良いと思います。

ただ、勘違いして頂きたいのは、希少疾患はその名の通り、『希少な疾患』であり、いろいろな領域に希少疾患は存在しています。

希少疾患のメインは小児領域やCNS領域になりますが、Oncology領域にもニッチな癌もありますので、できるだけニッチな領域を担当できるようにした方が良いですね。

NSCLCやコテコテの胃がんなどは、今から担当してもあまり良いキャリアにはならないような気がしますね。

会社員として勤めている以上、担当する領域を自分で全て決めることは不可能だと思いますが、その一方で、担当している領域によって、その人の市場価値も大きく変わります。

市場価値を高くするためには、その時求められているHotな領域を担当している必要がありますので、キャリア形成の参考までに考えてもらえればと思います。

あと、薬事やPMはClinical Operationほど領域経験が問われず、汎用的な知識がキャリアが得られます。

そのため、領域問わず市場価値を上げたい人は、Clinical Operation以外のRoleの方がお勧めです。


では!

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