CRAの転職:中堅内資系製薬メーカーから外資系CROに転職した人の話の紹介するよ!
どうも、はるきちです。
私は以前CROでCRA、チームリーダーを担当しており、現在は外資系製薬メーカーでオンコロジー領域のStudy Managerを担当しています。
私が以前在籍していた外資系CROには、中堅内資系製薬メーカーから転職してきたCRAさんが複数いました。
今日は、中堅内資系製薬メーカーから外資系CROへの転職について、記事にしてみたいと思います。
製薬メーカーとCROの違い
まず、製薬メーカーとCROの違いについてですが、製薬メーカーは医薬品産業に属し、CROはサービス業です。
製薬メーカーは、医薬品の臨床開発の業務の全部または一部をCROに委託する関係にあり、一般的には製薬メーカーは指示・命令する側であり、CROは指示・命令を受ける側になります。
製薬メーカーとCROの違いは以下のブログに纏めていますので、併せてご覧ください。
中堅内資系製薬メーカーとは
ここで言う『中堅内資系製薬メーカー』とは、売上1,000億円前後又はそれより売上が小さい内資系製薬メーカーを指しています。
具体的には、
- 持田製薬
- 科研製薬
- キッセイ薬品工業
- ゼリア新薬
などの会社をイメージしてもらえればと思います。
会社規模をイメージするために、2020年度の各社の決算資料より、売上、営業利益、営業利益率、最終利益を以下の表に纏めています。
*平均年収(年齢)は有価証券報告書より引用
持田製薬 | 科研製薬 | キッセイ薬品 工業 | ゼリア新薬 | |
---|---|---|---|---|
売上 | 1,029億円 | 749億円 | 690億円 | 544億円 |
営業利益 | 120億円 | 177億円 | 15億円 | 34億円 |
営業利益率 | 11.6% | 23.6% | 2.1% | 6.25% |
最終利益 | 85億円 | 134億円 | 5億円 | 31億円 |
平均年収 (年齢) | 805万円 (42.1歳) | 791万円 (39.9歳) | 754万円 (42.2歳) | 702万円 (41.6歳) |
営業利益率は本業の儲けを表す指標となりますが、科研製薬の営業利益率=23.6%はかなり優秀で、まさに隠れた優良企業ですね。その一方で、キッセイ薬品工業の営業利益率=2.1%はかなり深刻です。
外資系CROとは
ここで言う『外資系CRO』とはGlobalで展開しているCROを指しています。
具体的には、
- Labcorp(ラボコープ)
- IQVIA(アイキューヴィア)
- ICON(アイコン)
- Syneos(サイネオス)
などのGlobal CROを指しています。
上記の4社は日本の臨床開発においても欠かせない存在になっており、日本においても多くの試験を受託しています。
会社規模をイメージするために、2021年の各社の決算資料より、売上、営業利益、営業利益率、最終利益を以下の表に纏めています。
Global Companyという事もあり、中堅内資系製薬メーカーとは売上規模が全然違いますね。
Labcorpの売上は、日本円換算で2兆円に迫る勢いです。
Labcorp | IQVIA | ICON | Syneos | |
---|---|---|---|---|
売上 ($ in millions) | 16,120.9 | 13,874 | 5,480.8 | 5,213 |
売上 *2022/4/1の為替 1$=122円で日本円に換算 | 1兆9,667億円 | 1兆6,926億円 | 6,686億円 | 6,359億円 |
営業利益 ($ in millions) | 3,259.5 | 1,393 | 378.5 | 389.3 |
営業利益率 | 20.4% | 10% | 6.9% | 7.5% |
最終利益 ($ in millions) | 2,379.5 | 971 | 153.1 | 234.8 |
CRO各社とも、モニタリング以外にCentral Lab事業、Central Imaging事業、CSO事業などを手掛けています。Labcorpは売上高も一番高く、営業利益率も一番高い優良企業ですね。
中堅内資系製薬メーカーから外資系CROに転職した人の話
Aさんは新卒で中堅内資系製薬メーカーに入社し、現在は外資系CROに勤務ですが、転職した理由は何だったのでしょうか?
グローバル試験を担当したいと考え、現職の外資系CROに転職しました。
グローバル試験であれば、外資系の製薬メーカーでも良いと思いますが、メーカーは受けたのですか?
はい、外資系の製薬メーカーも受けたのですが、グローバル試験の経験が無いため、全て落ちました。そのため、一旦は製薬メーカーへの転職を諦め、外資系CROに転職しました。前職ではパイプランが脆弱であったため、パイプランが豊富な会社に転職したいと考えたのが発端です。
確かにそうですね。ただ、製薬メーカーに転職する際に、製薬メーカー出身者が優遇されそうな気がしますが、そうでもないのでしょうか?
その辺の温度感は会社によっても違うみたいです。グローバル試験の経験が無くても製薬メーカー出身者が欲しい会社もあれば、CRO出身であったとしても、グローバル試験の経験がある方が良いと考えている会社もあるようです。昨今のCRAの中途採用は外資系製薬メーカーが中心ですし、どちらかというと外資系の製薬メーカーは後者の考えの会社が多いようです。
なるほど。という事は、現職の外資系CROでグローバル試験を経験した後は、製薬メーカーへの転職に向け、転職活動を再開する予定ですか?
そうですね、今のところはその予定でいます。
ちなみに、私がいた前職のCROでも中堅内資系製薬メーカーから転職してくる人が一定数いましたが、中堅内資系製薬メーカーのメリットとデメリットを教えて頂けますか?
まず、メリットですが、外資系製薬メーカーのように縦割りの組織にはなっていないため、開発に関わる広い業務を担当できます。前職では、Data Managementと統計解析以外の業務を同じ部署内でやっていました。
モニタリング以外の業務も担当できるのは、非常に良いですね。その他にはいかがでしょうか?
外資系に比べると、教育体制がしっかりしていると思います。昔ながらの先輩後輩文化と言いますか、良い意味での縦社会だったと思います。教育の一環として、入社後まもなく、治験届の30日調査の照会事項対応とかもやらせてもらえましたし、開発全般に広く携わりたい人にはおススメだと思います。
では、その一方でデメリットは何でしょうか?
デメリットは、グローバル試験を実施していない会社が多い点とパイプラインが充実していない会社が多い点だと思います。
なるほど。年収レンジはどうでしょうか?
会社によって異なりますが、全般的には大手製薬メーカーよりも年収が安い会社が多いですね。大手外資系CROと比べても、安いと思います。
まとめ
今日は、中堅内資系製薬メーカーからCROへの転職事例について見てみました。
個人的には、業務範囲が広いという点は非常に魅力的だと思う一方で、パイプランが充実していない点については懸念点の1つとなると思います。
【デメリット】
CRAにとって、グローバル試験の経験は非常に重要ですので、上記で紹介した事例のように、外資系CROに転職して経験を積むのも1つの手段だと思います。
その一方で、再度メーカーに戻ることを希望する場合は、20代後半ぐらいには外資系CROに転職しておく必要があります。
と言うのも、製薬メーカーのCRAの中途採用は難易度が高く、30代前半ぐらいが採用の一番のボリュームゾーンであるため、そこから逆算すると、
- 20代後半 中堅内資系製薬メーカーから外資系CROへ転職
- 30代前半 外資系CROから製薬メーカーへ転職
となりますので、できるだけ早めに行動しておく必要があります。
では!
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