固形がんの治験について考察してみる

どうも、はるきちです。

私は今までのキャリの中で固形がんと血液がんの両方の経験がありますが、今日は固形癌について考察してみたいと思います。

性別及び年齢別の死因上位の癌は?

上記の画像は国立がん研究センターの以下URLに掲載されている画像ですが、性別及び年齢別の死因となるがんを上位から表示したものとなります。
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

男性では、40歳以上で消化器系のがん(胃、大腸、肝臓)の死亡が多くを占めるが、70歳代以上ではその割合はやや減少し、肺がんと前立腺がんの割合が増加しております。

また、女性では、40歳代では乳がん、子宮がん、卵巣がんの死亡が多くを占めるが、高齢になるほどその割合は減少し、消化器系(胃、大腸、肝臓)と肺がんの割合が増加しております。

基本的に、発現率が高い癌はマーケットしても広いため、各社治験を実施しており、例えば肺癌市場は各社しのぎを削っている状況です。
おそらく、Oncology領域に参入している会社で肺癌の治験を実施していない会社は無いのではないでしょうか?

肺癌の中でも、特に非小細胞肺癌の治験はかなりの数が実施されております。

固形癌の治験を担当する場合の注意点

固形癌の試験と言えば、必ず必要となるものが以下の2点です。

【固形癌の治験を担当する際のマストアイテム】
1.RECIST(有効性評価)
2.CTCAE(安全性評価)

固形がんは有効性評価はRECISTで行い、安全性評価はCTCAEで判定することとなりますが、脳腫瘍以外の固形がんは基本的に全ての癌腫においてRECIST及びCTCAEを評価に用いますので、1回覚えてしまえば他の癌腫でも使うことでき、汎用性が高いと言えます。

私は固形癌は肺癌の経験のみですが、様々な癌腫の経験がある人に聞いたところ、癌腫が違う場合でも試験デザインは似ていることが多く、1度オンコロジーを経験すると他の癌腫にも応用が利くみたいです。

ちなみに、血液がんについては、安全性の評価はCTCAEで評価を行いますが、有効性の評価方法はそれぞれの疾患により異なります。

そのため、疾患が変わると有効性評価については覚え直す必要があるため、血液がんの方が汎用性が低いと言えると思います。

RECISTとは?



固形癌の試験では、有効性の評価は基本的にCTやMRIの画像所見で評価することになりますが、画像所見上での腫瘍の大きさを評価する評価基準をRECISTと言います。
Response Evaluation Criteria in Solid Tumorsの略であり、レシストと読みます。

CRAがRECISTを理解しないまま担当することは非常に恐ろしいことです。
固形癌に薬剤が奏功している間は腫瘍サイズが小さくなりますが、ある一定のところ境に腫瘍は小さくならず、場合によっては腫瘍のサイズが大きくなります。

これは、もうその薬剤が効かないということを意味しており、最も腫瘍径が小さくなった時点から20%以上の腫瘍径の増大かつ5mm以上増大した場合に「 進行(Progressive Disease:PD)」といいます。

PDになった場合はもうその薬剤は奏功していないため、別の薬剤に切り替える必要があり、その場合は治験薬を中止するよう規定しているProtocolがほとんどだと思います。

しかし、CRAがRECISTを理解していない場合、PDになったことに気づかず、治験薬がそのまま投与されてしまいます。
CRAが気付いていなくても施設側で気付いていれば問題ないのですが、施設も気付いておらず、PDになった後も治験薬がそのまま投与され続けてしまうケースが稀に発生します。


そうならないように、RECISTをしっかり理解している必要があります。

2020/2/5時点で最新のRECIST Ver.1.1
http://www.jcog.jp/doctor/tool/RECISTv11J_20100810.pdf

これだけわかっていればSDVはできる!というRECISTのポイントを以下に記載しました。
以下に記載した事項は基本中の基本ですので、しっかりと理解しましょう!

ベースラインにおける腫瘍の測定可能性(measurability)

ベースライン時にまずは腫瘍のサイズを評価し、治験期間中に腫瘍のサイズがどのように変化したかを見ていく必要があります。

その際、「測定可能」「測定不能」という考え方が重要となります。

測定可能(measurable)

-腫瘍病変(tumour lesions): 少なくとも 1 方向で正確な測定が可能であり(測定断面 における最大径(長径)を記録する)、かつ以下のいずれかのサイズ以上のもの。
• CTで10 mm(CTのスライス厚は5 mm以下、画像診断 の手引きに関する付録IIを参照)
• 臨床的評価としての測径器(caliper)による測定で10 mm (測径器により正確に測定できない病変は測定不能とし て記録する)
胸部X線写真で20 mm

-リンパ節病変(malignant lymph nodes): 病的な腫大と判断され、かつ測定可能なリンパ節は、 CTで評価した短軸の径(短径)が15 mm以上(CTのスライ ス厚は 5 mm 以下を推奨)。
ベースラインおよび経過中は、 短径のみを測定して評価する(本特集号のSchwartzら15を 参照)。

腫瘍病変とリンパ節病変の大きな違いは、腫瘍病変は最大径(長径)を測定しますが、リンパ節病変は短径で測定値として用います。

測定不能(non-measurable)

小病変(長径が 10 mm 未満の腫瘍病変または短径が10mm以上15 mm未満であるリンパ節病変)、および真の測定不能病変を含む、測定可能病変以外のすべての病変。

真の測定不能病変とみなされる病変には次のものがある。
軟膜髄膜病変、腹水、胸水または心嚢水、炎症性乳がん、皮膚や肺のリンパ管症、視触診では認識できるが再現性のある画像検査法では測定可能ではない腹部腫瘤や腹部臓器の腫大。

「標的病変」および「非標的病変」

標的病変

ベースライン評価において 2 個以上の測定可能病変を認める場合、すべての浸潤臓器を代表する、合計が最大5個(各臓器につき最大 2 病変)までの病変を標的病変として選択し、これらについてベースライン評価での測定値を記録する(すなわち、浸潤臓器が 1 臓器の場合は最大で 2 病変、2 臓器の場合は最大で4病変を記録する)。

非標的病変

標的病変以外の、リンパ節病変を含む他のすべての病変 (または病変部位)は非標的病変とし、これもベースライン評価時に記録する。

病的リンパ節腫大 (短径が 10 mm 以上 15 mm 未満)はすべて、非標的病変とされる。ベースライン評価にて短径が10mm未満のリンパ節は病的ではない(病変ではない)とみなされるため、記録または追跡すべきではない。

標的病変の評価

標的病変に関しては以下のように定義されます。
有効性評価を行う際の肝となりますので、しっかりと理解しましょう!

「完全奏功:CR(Complete Response)」 :すべての標的病変の消失もしくはリンパ節の場合は短径10㎜未満に縮小
「部分奏功:PR(Partial Response)」 :治療開始前より30%以上縮小
「進行:PD(Progressive Disease)」 :治療経過中に最も腫瘍が小さい時より20%以上腫瘍が増大かつ径にして5㎜以上の増大
「安定:SD(Stable Disease)」 :「部分奏功」と「進行」の間の状態

まとめ



最初は覚えることも多く大変でしたが、今振り返ってみると肺癌の試験は非常に興味深く、いい経験ができました。

固形癌をがっつりやりだすとマジで面白いと思いますので、是非皆さんにも一度は経験して欲しいと思います。

では!

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