CRAの転職:CROにおけるビジネスモデルの違いについて

2022年5月18日

どうも、はるきちです。

私は以前CROでCRA、チームリーダーを担当しており、現在は外資系製薬メーカーでオンコロジー領域のStudy Managerを担当しています。

今日は、CROにおけるビジネスモデルについて考えてみたいと思います。

『CRO』と言っても、それぞれのCROにおけるビジネスモデルは異なりますし、積める経験にも差が生まれます。

そのため、新卒・転職で会社を選ぶ際には、その会社がどのようなビジネスモデルを展開しているかを調べた上で応募する必要がありますので、今日はCROにおけるビジネスモデルと、それにより積める経験を説明したいと思います。

なお、どのモデルにおいてもCRAのモニタリング業務という点では、大きな違いはありません。

その一方で、CROのチームリーダーは積める経験に大きな差がでますので、チームリーダーにとってどのような経験になるか、という観点で記事を書いていきたいと思います。

CRAの皆さんの中には、チームリーダーを目指している人もいると思いますので、将来自分がどのような経験を積めるのか、という観点でご覧頂ければと思います。

製薬メーカーとCROの違い

まず、製薬メーカーとCROの違いについてですが、製薬メーカーは医薬品産業に属し、CROはサービス業です。

製薬メーカーは、医薬品の臨床開発の業務の全部または一部をCROに委託する関係にあり、一般的に製薬メーカーは指示・命令する側であり、CROは指示・命令を受ける側になります。

製薬メーカーとCROの違いは以下のブログに纏めていますので、併せてご覧ください。

CROにおける特定派遣型と受託型の違い

CROのビジネスモデルは、大きく分けると特定派遣型と受託型のビジネスモデルに分けることができます。

  • 特定派遣型:製薬メーカーに派遣され、製薬メーカーのCRAとして勤務する。
  • 受託型:CROのCRAとして勤務する。


どちらの業務形態においても、それぞれ長所・短所が存在します。

特定派遣型と受託型の違いについては以下のブログに纏めていますので、併せてご覧ください。

受託型のビジネスモデル

特定派遣型と受託型のビジネスモデルの違いが理解できたと思いますので、今日は受託型のビジネスモデルをメインで書いていこうと思います。

『受託型』の中には、大きくわけて以下の3つのモデルが存在します。

それぞれ順を追って説明していきますが、上の方に記載しているビジネスモデルほど、一般的には

  • 難易度:高
  • 積める経験値:高
  • 転職する際の市場価値:高

となります。

以下にそれぞれのビジネスモデルを図を用いて説明していますが、全てのモデルにおいてグローバル試験という前提で記載していますので、ご了承ください。

治験国内管理人(ICCC:In country Clinical Care-taker)

まず最初に、治験国内管理人(ICCC:In country Clinical Care-taker)の試験です。

ICCCは、一般的には、まだ日本に進出していない外資系製薬メーカーがグローバル試験を実施する際に、CROの日本法人が日本における治験依頼者となり、業務を行う形態を指しています。

ICCCでは、CROが製薬メーカーと同じような業務を担当するため、非常に良い経験ができると思いますし、CROが受託するモデルの中で、一番難易度が高いモデルです。

ICCCについては以下のブログに詳しく纏めていますので、併せてご覧ください。

はるきち

CROのチームリーダーにとっては難易度が高いビジネスモデルですが、CRAが行うモニタリングにおいては、他のグローバル試験と大差ありません。

フルアウトソース試験(CROへの『丸投げ試験』)

次に、CROへのフルアウトソース試験(CROへの『丸投げ試験』)です。

このモデルでは、指示・命令系統のメインストリームは、治験依頼者 Global team → CRO Global team → CRO日本法人となります。

ICCC同様に日本におけるオペレーションのメインはCROが担いますので、治験依頼者は進捗の確認や施設とのトラブル対応がメインです。

このモデルにおいても、CROのチームリーダーは治験依頼者と比較的同じような業務を経験でき、市場価値を高めることができると思います。

はるきち

ICCCまたはフルアウトソース試験でCROのチームリーダーの経験があれば、製薬メーカーのStudy Mangerへの転職も狙える可能性があります。

ハイブリッド型試験

最後に、ハイブリッド型試験ですが、このモデルでは治験依頼者の日本法人を通して、CROに指示がきます。

そのため、CROのチームリーダーには日本のオペレーションを運営する権限が無く、CROのCRAのモニタリングの管理がメインとなります。

はるきち

治験依頼者・CRO各社によって多少の違いがあるかもしれませんが、このモデルにおけるCRO チームリーダーの仕事のレベル感は、治験依頼者のLead CRAと同程度になると思います。

転職する際の会社選びの基準

転職をする際は、現職の不満を解消するために転職をする人が多いと思いますし、人それぞれ会社選びで重視するポイントが違うと思います。

人によっては、年収が一番に来ると思いますし、ワークライフバランスが一番に来る人もいると思います。

会社選びの基準は人それぞれの価値観によるものですので、正解や不正解はないのですが、ビジネスモデルは必ず確認をして入社をした方が良いと思います。

上述のとおり、ICCCでチームリーダーを経験できれば良い経験になりますが、仮にICCCに携わりたくて転職するのであれば、ICCCを多く受託しているCROに転職する必要があります。

ICCCはどのCROでも受託できるものではなく、

  • 外資系CRO
  • 大手内資系CRO

で実施していることが多いです。

中堅の内資系CROでICCCを受託していることもありますが、受託数は限られています。

また、昨今のCRO業界では、圧倒的に外資系CROが優位であり、内資系CROが今後優位になるイメージを私は持つことができません。

良い経験が積めるとお伝えしたICCCやフルアウトソース試験は、外資系CROで比較的多く実施されています。

かつ、外資系CROの方が内資系よりも年収が高い傾向がありますので、CRO業界内で転職する場合は外資系CROへの転職がおススメです。

なお、新卒で入社する場合は、教育がしっかりしている会社に入った方が良いと思いますので、その観点で会社を選びましょう。

はるきち

担当する試験によって状況は異なりますが、Twitter上の情報によると、内資系CROよりも外資系CROの方が忙しいという声が多く見られています。

まとめ

今日は、CROのビジネスモデルの違いについて見てきました。

内資系CROは教育が充実している会社が多いため、新卒でのファーストキャリアとしてはおススメですが、転職する際は、

  • ビジネスモデル
  • 年収

の観点から、外資系CROの方がおすすめだと思います。

担当するモデルによって経験値に大きな差が出ますし、ICCCのチームリーダーとハイブリッド型のチームリーダーでは業務内容が大きく異なり、その結果として市場価値にも大きな差が生まれます。

CRO業界は転職が盛んな業界ですので、転職を検討している人が多いと思いますが、転職する際はビジネスモデルをしっかりと確認をして、応募するようにしましょう!

なお、おススメの転職エージェントに関する記事を以下に貼っておりますので、併せてご覧ください。

では!

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